営業ノウハウの型作りも支援

製造業×金融での脱銀行ビジネスモデル構築に向けた構想策定・営業伴走支援

支援内容
  • ビジョン/事業戦略策定支援

FFGインダストリーズ株式会社(以下、FFGインダストリーズ)は、金属加工品をはじめとした製造業向け商材を取り扱う総合商社です。九州全域にネットワークを持つ総合金融グループ「ふくおかフィナンシャルグループ」のグループ企業の一つとして、2023年5月に設立されました。設立当初は金属加工品の仲介サービスを提供していましたが、事業のスケール化、九州産業界への貢献度について課題を感じたことがきっかけとなり、オーツー・パートナーズにコンサルティングを依頼。2023年12月より当社の支援がスタートしました。支援の内容や社内の変化について、FFGインダストリーズの代表取締役社長・林田紘一氏と、シニアマネージャー・出田直也氏、本プロジェクトを担当したオーツー・パートナーズの社員・竹田に聞きました。

【お客様からのコメント】

代表取締役社長 林田氏

「現在取り組んでいる設備の導入支援については、我々の力だけでは辿り着かなかった領域であり、オーツー・パートナーズに依頼して本当に良かったと感じています。おそらく単独で事業を進めていたら、金属加工品以外に手を広げることはできなかったでしょう。目標達成までの道筋を伝えるだけでなく、さらに踏み込み共にゴールを目指してくれるコンサルティングファームは、オーツー・パートナーズ以外ないのではと感じています。」

シニアマネージャー 出田氏

「営業伴走支援としてお客様のところにも積極的に同行していただき、非常に心強く感じています。近年は高齢化に伴うベテラン従業員の退職などにより、様々な課題を抱えている企業が多いようです。竹田さんには商談のサポートだけでなく、お客様へのプラスアルファの助言までいただき、会話が盛り上がることが非常に増えました。同じ目標に向かって動いていただいている点は、本当にありがたいですね。」

オーツ―・パートナーズ 竹田誉


「オーツー・パートナーズは現場経験の豊富な者が揃っているコンサルティングファームです。現場で働く方の気持ちだけでなく、設計のニーズや品質のニーズ、調達のニーズなども把握しているため、今回はそのようなニーズを踏まえたうえでのご支援をご提案しました。現在は積極的に営業活動を伴走型でご支援させていただいていますが、今後は実績を積んで『まずはFFGインダストリーズに相談しよう』とお客様に言っていただける状態を目指して、支援を続けさせていただければと考えています。」

【ご支援先】 

FFGインダストリーズ株式会社

FFGインダストリーズ株式会社は、ふくおかフィナンシャルグループ(以下、FFG)100%出資の総合商社です。FFGの強みである広域なネットワークと金融ノウハウを活かし、地域企業の課題解決や、地域全体の生産性向上を図ることを目的として設立されました。FFGのネットワークを最大限活用して地域の工場と協業することで、多種多様な外注ニーズに対応しています。



担当プロジェクトマネージャー
松本 哲治

九州大学卒。オリエントコーポレーション、デロイトトーマツコンサルティングを経て2023年4月よりオーツー・パートナーズに参画。

経営戦略・長期ビジョン策定、事業ポートフォリオ変革、マーケティング戦略、新規事業戦略、組織改革、改革人材育成などのプロジェクト経験を多数有し、経営目線での戦略立案・企業変革を主に担当する。


総合金融グループ初の“総合商社”として誕生

FFGインダストリーズは、FFGにおける20社以上の子会社 のうち、唯一商社業務を手掛ける企業です。2022年の中期経営計画において、「従来のような金融を中心とした間接的な取り組みだけでなく、お客様の本業に対してより本質的な支援ができる事業を始めるべきではないか」との意見がグループ内で出たことをきっかけとして設立されました。FFGの取引先のなかでも多くを占める製造業に特化することで、地域全体の生産性向上に貢献する狙いです。こうしてFFG初の総合商社として誕生した同社は、2023年6月より、金属加工品を中心とした仲介サービスを開始しました。

「1期目の前半は当社のサービスにご登録いただける協力工場を増やすことに注力し、後半からは、金属加工品を外注したい発注企業と協力工場を結ぶ仲介サービスをスタートさせました」と、代表取締役社長の林田氏は当初を振り返ります。

FFGの広域なネットワークを活かすことで、次々と協力工場を増やしていったFFGインダストリーズ。協力工場数は、事業開始から7ヶ月目には約300に到達しました。とても順調な滑り出しのように感じられますが、「事業を進めるにつれて思わぬ壁に衝突した」とシニアマネージャーの出田氏は語ります。

「実は1期目の早い段階で、協力工場を増やすことと、発注企業に営業をかけることの両方に問題が生じてしまいました。協力工場に関しては、登録工場数を増やす面において大きな壁はありませんでした。しかし、それぞれの工場で製造できる品が多種多様で、その中から優位性のある製品を見出すのに苦労していました。また発注企業への営業においても、なかなか協力工場とのマッチングに繋げることができませんでした。業界によっては、元々のサプライチェーンとの繋がりが強く、新たな工場への発注が難しいケースも多かったためです。」(出田氏)

営業活動の結果、受注に繋がった案件もあったものの、リピートではなく単発での受注が中心だったこともあり、同社は仲介サービスの提供を継続する困難さを実感し始めます。そして、なんとか現状を打破しようと課題の特定に努めましたが、社内の意見がまとまり切らず、結局解決には至りませんでした。

「課題解決に向けて、FFGインダストリーズとして価値を提供できる部分と、苦手な部分をまとめる作業に取り組みました。しかし、明確な答えがない作業のため、メンバーによって意見が大きく異なり、答えがまとまりきらなかったのです。例えば、『当社はAという価値を提供できると思う』といった意見が出ても、他のメンバーは『いや、Aでは不十分だ』というように、人によって目線が変わることで、一つの答えを導き出せない状態でした。第三者の目線で客観的な評価をしていただく必要性を感じていました。」(出田氏)

事業のスケール化に向けた構想支援からスタート

このような膠着状態の打開策となったのが、オーツー・パートナーズへの依頼でした。

「依頼を検討した最大の理由は、オーツー・パートナーズが製造業に特化しているコンサルティングファームであるためです。事業を始める前のタイミングで、他のコンサルティングファームへの依頼を検討したこともありましたが、製造業に関する具体的な課題を解決してくれる会社と考えると、オーツー・パートナーズ一択でしたね。実際に契約前の打ち合わせにて、現在の悩みや課題をお伝えすると、その場で具体的な回答をいただけた点には驚きました。例えば『九州の〇〇県にある〇〇という企業であれば、こんなサービスを提供すれば結びつくのではないか』といった、実績に基づいたレスポンスがあったのは非常に心強かったです。」(出田氏)

こうして、製造業に対する知見の深さが決め手となり、オーツー・パートナーズへ支援を依頼することが決定。第一段階として、2023年12月から事業のスケール化に向けた構想支援が始まりました。

「初回の打ち合わせでは、『まずは事業のスケール化を目指しましょう』というご提案をいただきました。当社は幅広い企業にアプローチできることが強みである一方で、今後どのような価値提供を目指していくのかについては、明確な答えを導き出せていなかったのです。そこで、スケール化に向けてまずは100億円の売上を目指したいことをお伝えすると、すぐに具体的な戦略やアイディアを出してくださいました。」(出田氏)

オーツー・パートナーズが提案したのは、現在の事業を発展させた新たな事業です。「事業のスケール化のためには、新たな事業構想づくりから取り組む必要性を感じました」とプロジェクト担当者の竹田は説明します。

「売上アップを目指すには、まず方向性を決める必要があります。当時の状況からは、『①量産金属加工品の受注を目指す』『 ②金属加工品を使ったオーダーメイドの自動化設備の導入支援を行う』という、2つの選択肢が考えられました。①の量産は品質保証が厳しく、適用評価に長期間を要するため事業を軌道に乗せるのは簡単ではありません。短期間で実績を積むためには②の金属加工品を使った自動化設備の導入をお客様にご提案する事業を優先してはどうかと考えました。まず単体の自動化設備を商材とし、次の段階としてコンサルティングと合わせてライン全体を商材とすれば、スケール化を更に進めていくことができるためです。」(オーツ―・パートナーズ竹田)

また、構想支援と並行して、製造業関連のインプットも実施。業界の構造をはじめとした基礎知識から、各製品における技術関連の知識、各部門別のニーズまで、製造業出身のエンジニアであるプロジェクト担当者・竹田による詳しい説明が行われました。

O2Pメンバーが営業同行し、構想実現に向けた成果創出に伴走

オーツー・パートナーズによる支援は、それだけではありません。2024年4月からは、竹田が営業活動に同行する「営業伴走支援」を開始。金属加工品を使った自動化設備の受注に向けて本格的に動き出します。この営業伴走支援について、林田氏は「その場で一定の回答ができることは、非常に大きな強みになっている」と強調します。

「創業時のメンバーは全員銀行員であったため、お客様から技術的な質問をいただいた際に、すぐに回答できないことが多々ありました。質問を持ち帰ると話が進むスピードが非常に遅くなってしまうだけでなく、先方のニーズを引き出すことも難しくなってしまいます。このような点については、社内でも課題の一つだと感じていました。しかし、営業伴走支援の開始後は、オーツ―・パートナーズの製造業知見をメンバーが吸収することでその場でお客様の疑問にお答えできるようになっていったため、非常に商談が盛り上がるようになったと感じています。」(林田氏)

「竹田さんには、できるだけ初回の商談から同席をお願いしています。ニーズをヒアリングする段階から同席いただくことで、お客様からの信頼を獲得するためです。ただし、スケジュールの問題でどうしても同席が難しいケースもあるため、その際は事前にアドバイスをいただいたうえで、当社のメンバーだけでお客様のところへ訪問するようにしています。最近は社内の打ち合わせにも同席いただくなど、時間の許す限りサポートをお願いしています。」(出田氏)

現在、FFGインダストリーズにて設備投資のチームに所属しているのは、出田氏を含めて4人。そのすべてのメンバーが営業活動を担当できるように、営業ノウハウの型作りも並行して実施しています。 「事業のスケール化について考えると、今後はより多くのメンバーに営業活動を行ってもらう必要があります。オーツー・パートナーズの支援終了後も同じ動きができるように、発注企業とサプライヤー(協力工場)のそれぞれに対して聞くべきポイントをまとめ、竹田さんにマニュアル化していただいているところです。」(出田氏)

支援による影響は社内のメンバーにも及ぶ

2023年12月から始まったオーツー・パートナーズの支援は、まだまだ続きます。支援開始から現在までの印象的なエピソードについて伺うと、出田氏は「もうありすぎて、どれをお伝えすればいいか迷います(笑)」と笑顔を見せました。

「一つ挙げるとすれば、とある自動車部品メーカー様への営業時のエピソードがとても印象に残っています。そのメーカー様では自動車の部品の一つであるバネの製造を行っており、製造後のバネは従業員の方が目視で検査していました。しかし、一日に製造するバネの数は約2万本とかなり多く、従業員の方々の負担になっていたのです。そこで、『検査を自動化できる設備を導入したい』とのご相談を受けたのですが、ここで一つ問題が生じます。発注者となるメーカー様が、『仕様書の作り方がよくわからないので、サプライヤーさんに作って欲しい』とおっしゃったのです。

すると、その話を聞いた竹田さんは、『製造業において、仕様書とは発注者が責任を持って作り上げるべきものですよ』とアドバイスをしたうえで、仕様書を作るサポートまでしてくださったことがありました。結果として、メーカー様もサプライヤー様も非常に喜んでくださり、当社としても、業界のあるべき姿に向かって動く重要性を認識した出来事となりました。」(出田氏)

「今振り返ると、営業活動としてはやりすぎだったかもしれません。ただ、商談をスムーズに進めるためには、発注企業様とサプライヤー様の両方をサポートする必要があります。オーツー・パートナーズにはその知見があるためビジネス成立を最優先に考え、双方のヒアリング内容から仕様書のたたき台を作成し、ご提案させていただきました。」(オーツ―・パートナーズ竹田)

さらに、「オーツー・パートナーズによる支援は事業だけでなく、メンバーへ与えた影響も大きいように思います」と林田氏は語ります。

「竹田さんのお話を間近で聞くことによって経験を積むことで、自信を持ってお客様のところにご訪問できるようになった点は大きいと感じています。やはり何もわからない状態だと、手探りで商談を進める必要があるため、自信を持って話すことは難しいといえます。もちろん、お客様によって求めていることは異なりますが、似たような商談を経験していれば提案の流れを掴むことができますよね。今後もそれぞれのメンバーが経験を積むことで、対応できる業務を増やしたいと考えています。」(林田氏)

「最近は、製造業に関する知識が豊富なメンバーを増やすために、キャリア採用を進めているのですが、社長から理想の人物像について尋ねられた際に、『竹田さんのような人が欲しい』と即答してしまいました(笑)。また、すでにキャリア採用でメンバーに加わった者からも『次に入社してもらう人は竹田さんのような人がいいな』という意見が出ていて、採用面にも良い影響が及んでいます。」(出田氏)

ヒト・モノ・カネ+技術で、製造業の本業に貢献できるパートナーになりた

最後に、みなさんの今後の目標を伺いました。

「現在はオーツー・パートナーズの支援により、大型の設備投資に対する提案や、それに伴う課題解決に取り組んでいます。この分野をさらに拡大していきたいと考えています。従来のような仲介サービスだけでは、お客様に十分な価値を提供できません。お客様がすでにお気づきの課題に対する提案はもちろん、まだ自覚されていない課題に対しても、積極的な提案ができるようになればと考えています。特に、大型の設備投資が伴う場合には、多岐にわたる課題を総合的に解決するソリューションが求められます。それに応えるため、さらなる取り組みを進めていきたいですね。」(出田氏)

「FFG全体としては、お客様のあらゆる課題をサポートできる存在になりたいと考えています。従来の金融機関は、主に計画に対する資金のサポートをするだけにとどまっていました。しかし、当社が事業を展開し続けることで、今後は金融関係以外の部分にも関与できるのではと考えています。FFGにはシステムや人材などに特化した様々な部門があるため、複数の部門との連携により、グループ全体としての課題解決の提案を目指していきたいです。現在の事業が進んでいけば、『様々な企業における、あらゆる課題を解決するパートナー』に近づけるのではないでしょうか。」(林田氏)

「今後FFGは、ヒト・モノ・カネのすべてのお悩みに対応できる金融機関になっていくのではと考えています。そこに我々の技術を加えて、『ヒト・モノ・カネ・技術が一体となった脱銀行のビジネスモデル』が成立できるように、支援をさせていただければと。最終的には、目指すビジネスモデルが製造業の活性化や、九州全体の活性化に繋がればベストなので、そのような三方よしの状態を目指していきたいです。」(オーツ―・パートナーズ松本)

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